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【歴史本】ジャンヌ・ダルク 歴史を生き続ける「聖女」

公開日: : 最終更新日:2022/02/19 読書 , , , ,

ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」―

 当時のジャンヌ・ダルクの活躍や軌跡を追うものではなく、様々な史料を元に「聖女」としてのジャンヌ・ダルク象を検証するというのが主なコンセプトになっています。

  • 著:高山一彦
  • 出版社:岩波書店
  • 発行日:2005年9月21日

序章

 明治・大正当時の文献等でのジャンヌ・ダルクについての記載を引用し、当時の日本でどのように認識されていたのかを書いてあります。

第1章

 同時代人が描いたジャンヌ・ダルクについての章です。当時の人々がジャンヌ・ダルクをどのように評していたのかを、復権裁判記録や籠城日誌からの引用でまとめています。

第2章

 後世の人々が描いたジャンヌ・ダルクとのことで、絵画や立像など、死後にどのような取り上げ方をされていたかについて書かれています。また、ジャンヌ・ダルクの活躍の裏に黒幕がいたという説についても言及してあります。

第3章

 処刑裁判でのジャンヌ・ダルクの証言を引用し、神の啓示がどのようなものであったかを検証しています。また、その後の改悛の実態についてもまとめられています。

第4章

 「ジャンヌ列聖とジャンヌをめぐる論争」との章タイトルで、ペギーの劇作品や、アナトール・フランスのジャンヌ・ダルク伝などについて記載してあります。また、ジャンヌ・ダルクが王家の血を引いていたという説も取り上げて検証してあります。

 このように、ジャンヌ・ダルクの生涯や当時の情勢をまとめた本とは少し違う切り口の、ジャンヌ・ダルクに対する解釈を検証している1冊になっています。巻末の参考文献の多さからも分かるように、史料の引用も多く、新書ですが読み応えのある内容です。

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