【歴史本】ジャンヌ・ダルクの実像
ジャンヌ・ダルクの実像
ジャンヌ・ダルク研究所の初代所長であるレジーヌ・ペルヌーによる著作です。ジャンヌ・ダルクの生涯を中心に、フランスとイギリスの情勢なども絡めて、ひととおりを網羅する構成になっています。
- 著:レジーヌ・ペルヌー
- 訳:高山一彦
- 出版社:白水社
- 発行日:1995年5月31日
概要
百年戦争終盤のフランスとイギリスの状況から、ジャンヌ・ダルクの登場、オルレアン包囲戦、ランスでの戴冠、休戦、コンピエーニュからルーアン、処刑裁判、フランスのその後、処刑判決破棄裁判、後世でのジャンヌ・ダルクの取り上げられ方といった内容を、全10章でまとめてあります。
フランスの状況や、王太子シャルルの廃嫡、オルレアンの包囲に始まり、ジャンヌ・ダルクの生涯を追う順序で解説され、処刑後の復権裁判や、後世での研究、文学作品にも言及してあり、非常に充実した内容でした。
各章の中身も、「オルレアン公家とブルゴーニュ公家」、「アルマニャック派とブルゴーニュ派」といったトピックごとにまとめられていて、とても分かりやすかったです。
感想
この本では、史実と併せて、ジャンヌ・ダルクの人物像について、処刑裁判および復権裁判からの引用を多く用いた考察がなされています。
ジャンヌ・ダルクの生涯について知るには、とても分かりやすくまとまっていると思います。歴史本となると、内容は充実していても読みづらい本もありますが、読みやすさという点でもおすすめできる1冊です。
反面、ジャンヌ・ダルク以外の人物については、あまり深くは言及していない印象のため、当時の全貌を俯瞰的に把握したい場合には、少し合わないかもしれません。
著者は、ジャンヌ・ダルク研究所の初代所長を務めており、ジャンヌ・ダルク関連書籍をいくつか読んだことのある方は目にしたことのある名前だと思います。同様に、訳者も処刑裁判の編著や復権裁判の訳など、ジャンヌ・ダルク関連書籍の著作や訳を多く手掛けています。参考としている史料の豊富さや、引用の正確性といった意味で、信頼度の高い本だと思います。
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