【歴史本】ジャンヌ・ダルク復権裁判
ジャンヌ・ダルク復権裁判
レジーヌ・ペルヌー編著、高山一彦訳。処刑裁判の25年後に行われた、処刑判決破棄裁判の証言記録を編纂した本です。復権裁判とも呼ばれている裁判の全記録は膨大な量のようで、その中から編著者が抜粋してまとめたものです。
- 編著:レジーヌ・ペルヌー
- 訳:高山一彦
- 出版社:白水社
- 発行日:2002年6月10日
概要
日本語訳についてはただ訳すのではなく、資料の正確性を保つため、デュパルク版、キシュラ版、ドンクール版と呼ばれるそれぞれの資料と照らし合わせ、補完・訂正を行っているとのこと。
序章では、復権裁判に至るまでの流れが解説されています。その後、ジャンヌ・ダルクの育ったドンレミ村の住人を始め、ヴォークルール、シノン城、オルレアンなどの人々の証言がまとめられています。
一章以降は、序盤で編著者のによる、証言者がどのような立場の人物かなどの解説があり、分かりやすい構成になっています。
感想
処刑裁判の記録は、当然ながらジャンヌ・ダルクの証言を主にまとめたものでした。本書復権裁判は、ジャンヌ・ダルクに関係のある人々の証言をまとめたものです。
どちらかというと目撃証言といったもので、ジャンヌ・ダルクと面識のある人々が、彼女について、どんな様子だったか、どのような言動だったかなどを語っています。
当時の人々が実際に目にした、ジャンヌ・ダルクに対する印象が記されているという意味で、本当におもしろい資料だと思います。
証言者の中には、従者ジャン・ドーロン、従卒ルイ・ド・クート、オルレアンの庶子ジャン・デュノワ、アランソン公といった、ジャンヌ・ダルクを主人公とした物語ではよく目にする人物も並んでいます。
ジャンヌ・ダルクが初めて表舞台に出るオルレアンの人々の証言、それから処刑裁判の陪席判事の証言などもあり、非常に興味深く読みました。
処刑裁判の25年後であるにもかかわらず、これだけの証言がなされているというのは、当時の人々にとって、ジャンヌ・ダルクがそれだけ印象深い存在だった証左と言えるのかもしれません。
ジャンヌ・ダルク処刑裁判と並んで、日本語で読むことのできる大変貴重な本だと思います。
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