【歴史本】ジャンヌ・ダルクとその時代
ジャンヌ・ダルクとその時代
清水正晴著。ジャンヌ・ダルクの生涯を辿りながら、百年戦争後半の時代背景について広く解説した本です。やや小説に近い書き方のため、とても読みやすいです。
- 著:清水正晴
- 出版社:現代書館
- 発行日:1994年11月20日
概要
序章ドンレミから最終章ノルマンディまで、時系列に沿って展開するので非常に分かりやすいです。小説のように順を追った書き方で、読みやすいのですが、根拠が不明な部分はちらほらと見受けられます。
この点に関しては、あとがきで、著者自身が史学者ではなく点と点を憶測で埋めている部分があると認めているため、歴史資料の中でも読み物に近い位置づけと考えたほうが良さそうです。
この本では、ジャンヌ・ダルクの生涯を辿りながら、主要人物や時代背景についても幅広く解説してあります。章のタイトルは、ドンレミに始まりノルマンディまでフランスの都市名で統一されています。
ドンレミでジャンヌ・ダルクが誕生したところから、処刑裁判、復権裁判、その後歴史に埋没し、ナポレオンが取り上げて再び脚光を浴びるというところまでが書かれています。
感想
ジャンヌ・ダルクの行動だけを追うのではなく、当時のフランスおよびイングランドの情勢について広範囲に網羅してあるので、全体像が非常に分かりやすい1冊になっています。
ジャンヌ・ダルクの動きの裏でどのような政治的動きがあったのかということも、細かに書いてあります。シャルル7世の動静や、オルレアン包囲時のオルレアン公シャルルの動向など、ジャンヌ・ダルクを主題とした歴史本では省略されがちな部分にもかなりページが割かれていて、読み応えがありました。
多少の脚色はあるという前提でしたら、読み物としてはおもしろいです。全体的に、とてもバランス良くまとめられていると思います。
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