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【映画】ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

公開日: : 最終更新日:2023/04/03 映画 , ,

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

 18歳で英国ロイヤル・バレエの史上最年少プリンシパルとなり、わずか2年半で退団した、ヌレエフの再来とも言われた天才バレエダンサー。その半生を描いたドキュメンタリー映画です。

  • 制作:イギリス・アメリカ(2016)
  • 監督:スティーヴン・カンター
  • 出演:セルゲイ・ポルーニン

概要

 ウクライナ出身で裕福ではない家庭に育ち、母親は、生まれたときに尋常ではなく股関節が柔らかかったセルゲイを見て、体操かバレエを習わせると決めたそうです。父や祖母は、国外への出稼ぎでセルゲイのバレエ学校の費用を工面しました。

 期待に応えるために努力して、イギリスのロイヤル・バレエ学校に留学中に両親は離婚してしまいます。飛び級し、ロイヤル・バレエに入り、最年少でプリンシパルとなりますが、踊る理由を見失い、2年半後に退団。

 ロイヤル・バレエを退団後、ロシアで一からキャリアを重ね、後にホージアの「Take Me To Church」のMVに出演して話題となります。You Tubeでも公開されているこのMVが、ラストにフルで入っていました。

感想

 子供時代が断片的に語られたとき、ああこれはきついなと思いました。家族の期待を一心に背負って、出稼ぎまでしたお金を全部つぎ込んで、これはすごいプレッシャーだろうなと。

 実家に戻ったときの会話で、母親の過干渉が苦痛だったというセルゲイに対し、自分は息子を育てるためにすべてを犠牲にしてきたと言い放ったのが印象的でした。この返しは、本当にしんどい。

 セルゲイ・ポルーニンがどういうダンサーかということよりも、母息子の確執に焦点を当てたドキュメンタリーに仕上がってしまっているとは思います。そのため、バレエダンサーのドキュメンタリーとして見ると、期待外れかもしれません。

 ラストにフルで入っているMVはとても見応えがあり、とてもしなやかで美しく、迫力のある踊りでした。

 このドキュメンタリー映画を見た後に、いくつかセルゲイ・ポルーニンのインタビュー記事を読みました。作中では明確に語られていなかったように思いますが、バレエダンサーの待遇について、金銭面であったり、キャリアを自由に選べないといったことがあり、その現状を変えたいと考えているそうです。

 家庭は貧しく、両親は離婚。ロイヤル・バレエの最年少プリンシパルになるも、スキャンダルが多く、人気の絶頂で電撃退団。数々の苦悩を抱えながらも踊り続け、やがて再起を果たす。

 ドキュメンタリーはそんな流れで描かれていますが、他のメディアでのインタビューなどを併せてみると、少し違った見方もできるような気がします。

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