【映画】バーフバリ
バーフバリ 伝説誕生・王の凱旋
全2部構成の、歌って踊る叙事詩的インド映画。日本では、第1部「伝説誕生」が2017年4月、第2部「王の凱旋」は同年12月に公開。古代インドを舞台にした、アクションファンタジー。
- 制作:インド(第1部・2015年、第2部・2017年)
- 監督:S・S・ラージャマウリ
- 脚本:S・S・ラージャマウリ
- 音楽:M・M・キーラヴァーニ
- 出演:プラバース 他
概要
これは、第1部と第2部を続けて見るのがおすすめです。随所に神話的モチーフをちりばめ、貴種流離譚の話型を取りつつも、メインとなるのは主人公マヘンドラの父アマレンドラ・バーフバリをメインに据えた壮大な過去編。第1部の半ばから始まったアマレンドラの物語は第2部の後半まで続き、そのまま息子マヘンドラの話へと繋がっていきます。
キャンベルの神話論を踏襲した構造で、インド神話やインド史からの引用もあるようなので、そちらを深堀りした考察も読み応えがあっておもしろいです。
ロード・オブ・ザ・リングを始め、ベン・ハーやタイタニックなどなど、ハリウッド映画や漫画で見たようなシーンが盛り沢山で、あらゆるネタを混ぜ込みつつも、ひとつのエンターテイメント映画として仕上げられています。神話の英雄という超王道のストーリーでありながら、映像的には全力で娯楽作品に振り切れているので、心置きなく過剰演出を楽しめる作品です。
感想
公開当時、えらくテンションの高い感想をちらほら見かけてタイトルだけは認識していたものの、内容についてはまったく予備知識なし。ようやく見ました。
有無を言わせぬ謎の迫力で殴りつけるかのような圧倒的過剰演出が、見どころの9割と言っても過言ではないのですが、土台となる設定やストーリーがしっかりしているのが、個人的には高得点です。ここが破綻していると、どれだけ映像が良くても世界観に入り込めないので、特に今作のようなファンタジー要素の強い作品では、肝要かと。
ストーリーは王道で、第1部の中盤にしてほぼ読める展開と設定で、大方の予想通りといった流れです。おもしろいのは、それを古い時代の神話のように語ることで、主人公が生まれながらにして超人的であることに対して、理由付けを省略しているところです。古代インドという舞台を設定し、神話の英雄という共通の概念を前提とすることで、多少人間離れしていても引っかかることなく見ることができます。
そのため、ストーリー性や感情移入できる心理描写を好む方にとっては、いまひとつかもしれません。ただ、一見大味に見せかけて作りは丁寧ですし、直球でエンターテイメントを追求した映像作品なので、インド映画の導入におすすめしたい一本です。
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